2026/02/16 15:28

就職や進学で親元を離れるお子様をお持ちの方向けに 春の新生活スタートセット のようなものを組み合わせて売ってみようかなと、昨年からずっと考えていたのですが、やめました。


それでは単品で並べてみようかなとも思いましたが、実店舗があればそうした事はとてもいいけれど、通販のみの私の店のコンセプトとは方向が違う気がしたのです。


もし tompolo のラインアップに、そうしたものがあるなと思っていただきお買い上げいただければ嬉しいですが、多分ありません。


tompolo は小さい単位での暮らしで使う調理道具をセレクトするようにしていますが、初めての一人暮らしとなると視点が少し違うのですね。


長く台所仕事をしてきた単身や二人暮らしのひとが、これは便利かもしれないと思われるものを提案する方向性で商品を考えています。


基本的なオーソドックなものはラインナップから敢えて外しています 。


それをしないと、楽天の店舗やアマゾンと棲み分けが出来なくなってしまいます。


なので、春で新生活だからキッチン用品の入門セットをつくるということは、やはりわたしの仕事ではないと思ったのです。


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ここからは、もし、新生活の道具を揃えるならというとき、わたしが買う側だったらの考え方です。


まず大切なこととして思うのは、そんなに高いものを買う必要は全くないけれど、あんまり安いものは買わない方がいいでしょう。


私は安い靴を買うほど裕福ではない(I am not rich enough to buy cheap shoes)ということばがあります。



たとえばミキシングボールの話をします。


私はあと数年で還暦になりますが、いまでもほぼ365日使っているステンレスのボールは大学入学時、母が準備してくれたものです。それから40年ですから14000回以上は使っているわけです。さすがに小汚くなってきましたが、なんの不便もなく使っています。早逝した母の歳に、あと4年で追いつきます。実用性もそうですが愛着もあります。


100均のボールを見ると薄くてペナペナで驚きます。つまりこういうものをcheapというのです。臨時に何かに使うのにはいいでしょう。けれど、日々の暮らしの道具としてはいかがなものか。


当時はそうしたことを考えたこともありませんでしたが、こういう仕事をしていて、ある日ふとバックプリントを見たら燕市のメーカーでした。画像の手前は内径21cm、奥は18cm。ひとりでもお米を研いだりハンバーグの種を作ったりするなら21cmは欲しいですね。


物価高ですが国産のまともなボールは上のサイズで1500円から2000円くらいでの間で買えるでしょう。cheapでないものとはこの程度でいいということです。そしてはじめから柳宗理やラバーゼのボールを持たせる必要はありません。


ついでに何点か。


お鍋は16cmと20cmの片手鍋があればいいでしょう。ラーメンとカレー用ですね。素材は住まいの台所環境に(ガスかIHか)合わせるとして。tompoloでは12cmのミルクパンを扱っていて人気がありますが、応用が効く分初心者にはかえって使いづらいと思います。


わかっていない人が案外多いのが、フッ素樹脂(いわゆるテフロン)のフライパンの使い方。火力を鉄の中華鍋のように強火で使うからコーティングがダメになるのです。中弱火で調理するように作られています。それを守れば、3000円くらいのもので3~4年はもつでしょう。一人ならサイズは24cmのもので充分です。深型のフライパンを買えば鍋と兼用できるから、20cmのお鍋は不要になります。


包丁はどうせ自分では研げないのだから5000円くらいのものを買えば、3~4年は間使えるでしょう。


まな板は樹脂のものが漂白できるし衛生的かもしれませんが、あれはカンカンとかなり大きな音が響くので、アパートなどで使うと騒音トラブルの原因になる可能性があります。集合住宅にはどこに地雷が埋まっているかわかりません。そしてあたりが硬く包丁の刃も痛むので木製の方がいいです。


あとは菜箸とかお玉とかターナーとか、ストレーナーを揃えてと、基本こんなところで充分でしょう。ピーラーやスライサーはとなるとキリがありません。


この先のことは、当人が日々を暮らしながら自分の力で見つけ、考えていくことです。


まともなショップは、上のような事由からどう商品をラインアップするか知恵を絞るのでしょう。わたしはしません、というか出来ないのです。


だからひとりでチマチマ仕事をしているのでしょう。


商売気がないですね。